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GUNS N' SOULS、境目の時代の賭けに敗れたゲーム - 終わったゲームたちを想う1

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「ソーシャルゲームは、サービスが終わったら遊べなくなるじゃないか」
今も昔もそんな会話を目にするが、そもそもあなたは終わるようなソーシャルゲームをやりたいと思うのだろうか?
私はそこそこ遊んだゲームが終わると聞いても、まったくやる気にならない。
ほとんどの場合、終わるゲームには人気にならなかった理由があり、結局終わる頃にはユーザーもおらず「忘れられたゲーム」になっているのだ。

しかし、ふと振り返って懐かしく思うことはある。
そこで、「終わったゲームたちを想う」ではそんなゲームをたまに取り上げようと思う。
第1回は、スクエニの『GUNS N' SOULS』だ。
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『GUNS N' SOULS』は、『Temple Run』のようなラン系ゲームにバトル要素を加えたソーシャルゲームだった。
スマホで人気のアクションにバトルを加えたら。
ランアクションで強大なボスと戦うステージを加えたら。
そして、それを『ゴッドイーター』でアクションに定評がある SHIFT が作ったら、とても面白くなるのではないか!?
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初めて情報が流れてきたとき、ラン系ゲームが好きな私はワクワクしたものだ。

しかし、ご存じの通り現実はそうならなかった。
ガチャでカードを当てて育てなければボスを倒せず、アクションはお飾り。
ラン系ゲームとしても単調なゲームで、リリース日から「これはキツい」と思わされる内容だった。
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この記事を書くにあたって各所の記事を見返してみたが、ファミ通のレビューですら声優以外褒めていないのが今見ると味わい深い。
【注目アプリレビュー】『GUNS N’ SOULS(ガンズアンドソウル)』男だけど中村悠一ボイスにシビれ過ぎてヤバい

そんなゲームを振り返ることにしたきっかけは、1つの動画だった。
その名も「GUNS N' SOULSエンディング」。
壮大なネタバレなので、良ければこの記事を最後まで読んでから見て欲しい。


『GUNS N' SOULS』には、1つスゴく良い点があった。
それはシナリオだ。
シナリオは気になる伏線あり、魅力的なキャラクターあり、熱い展開ありで、2章までの段階では「なんだこれはッ!早く続きを見せろッ!」というぐらい良かった。
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それでもゲーム部分がイマイチなのはどうしようもなく、エンディングが実装された終盤にはゲームを起動する気力もなくなっていた。

しかし、エンディングムービーの力はすごかった。
途中のストーリーを知らなくても、見た者を感動させる問答無用のパワーがあった。
感動した勢いで手元の『GUNS N' SOULS』をタップしてしまうほど、懐かしさを呼び起こされてしまったのだ。

ストーリーが良いと書いたが、もう1つ言うなら運営も良かった。
ちょっとプレイするだけでイベント上位に入れてしまうほど閑散としていたが、最後までアップデートやイベントに手を抜かなかった。
フェードアウトせずに最後まで運営して、ストーリーも終わらせた SHIFT とスクエニはすごいと思っている。

サービスの終わったゲームは、起動しても「終了画面」が出るのみ…と思っていたが、このゲームは違った。
こいつ、動くぞ!
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サービスが終了しているのに、オフラインで動く!
しかも、iPhone 6 Plus や iOS 8 に対応して、ストーリーモードが全部見られる!
『GUNS N' SOULS』のストーリーが気になっていた方は、これを見ておくと落ち着くと思う。
後半は駆け足になってしまっているが、しっかり完結しているし、フルボイスで豪華声優陣の熱演も聴ける。
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▲このエピソード結構好きです。

美醜の都や火星基地などのステージには新しい仕掛けが登場し、見た目も変化があって単調さが解消されていた。
これぐらいの仕掛けがサービス開始時にあって、デッキ編成要素が緩和されていたら…と思わずにいられない。
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単にステージを走るミッションモードも遊べる。
試してみたところ、サービス時よりも楽しく遊べた気がした。
本来は、こんなバランスで遊ばせたかったんだな…。
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これを読んでいる方が『GUNS N' SOULS』をプレイしたことがあって、ストーリーに良い思い出があるならばアプリをDLして遊んでみて欲しい。
たぶん、楽しめると思う。
少なくとも私は、こういった形でアプリを残してくれたシフトとスクエニに「ありがたい」と思えた。

さて、最後になるが、『GUNS N' SOULS』とは何だったのか考えてみたいと思う。
私が思うに、このゲームは基本無料のアクション過渡期の実験が生んだ落とし子といえるだろう。

今、周囲を見渡すと『白猫プロジェクト』や『消滅都市』など、「アクション部分だけでも楽しい」ゲームが生き残り、実質ポチポチゲーのアクションは死んでいる。
結局、ポチポチゲーの理屈にはめるならば『スクールガールストライカーズ』のようにポチポチに徹し、ゲームにするならゲームを磨いた方が良い、そんな答えが出ているように思える。

しかし、『GUNS N' SOULS』は実質ポチポチ系の理屈でゲームを作ってしまった。
このゲームが出た頃(もしくは企画されたであろう頃)は、「基本無料なんだから、カードと育成だろう」という論と「ゲーム単品が面白い方が良い」という論がせめぎ合っていて、答えは出ていなかった。
だから、「ポチポチ重視」を選択したことは責められないと思う。

しかし、このストーリーとキャラクターたちが、「アクション重視」のゲームで動いていたら…きっととても楽しかったと思う。
改めて振り返ると、惜しいゲームだった。

アプリリンク:
GUNS N' SOULS (itunes 無料 iPhone/iPad対応)