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ドラゴンクエスト3 レビュー - 今プレイしても面白い、歴史に残るRPG。

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1988年の発売時、発売前日からゲームを求める人たちが行列を作る異常事態となり、社会現象として報道されたゲームがある。
そう、ドラクエシリーズの中でも名作と名高い『ドラゴンクエストIII そして伝説へ(以下、ドラクエ3)』だ。
このドラクエ3がついにスマホに移植されたので、本日はこれを紹介する。

『ドラゴンクエスト3』の最大の特徴は、なんと言っても主人公となる勇者の仲間を自由に作れることだろう。
ドラクエ2までは、プレイヤーは決められたキャラクターを操作して遊ぶしかなかった。
だが、ドラクエ3では【戦士】や【魔法使い】など、さまざまな職業のキャラクターをプレイヤーが作り、自由にパーティーを組めた。
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また、20LVまで育ったキャラクターは【ダーマ神殿】で転職することもでき、何度も転職して最強のキャラクターを作るやり込みも流行った。
この自由度は「RPG=ドラクエ」と考えていたプレイヤーには衝撃的で、大きな話題となった。
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▲もちろん、初代FFやウィザードリィなどクラスチェンジが存在するRPGはすでにあったけどもマイナーな存在で、RPG=ドラクエ的な層、ジャンプっ子などには衝撃的だった。

もう1つ驚かされたのは、自由度の高さ。
ドラクエ3では乗り物を手に入れると自由度が格段に上がり、さまざまなイベントを好きな順番でこなせる。
クリアしなくても良いイベントもあり、自由に世界を冒険している感覚があった。
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バトルはターン制のオーソドックスなコマンドバトルだが、成長と敵の強さのバランスが練り込まれていて楽しい。
強敵と戦う緊張感、レベルアップや装備の強化で少しずつバトルが楽になり成長していく実感、そしてまた新しい敵の登場…と、
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これらの要素がバランス良くミックスされたドラクエ3は、ユーザーに熱狂的に受け入れられ、最初に述べた通り社会現象と言われるほどのヒットとなった。

で、今作はそのドラクエ3のガラケー版をスマホ移植したもので、元の作品に現代的なアレンジが加わっている。

まず、キャラクターの作成に幅できた。
キャラクター作成時に能力値を上げる【たね】を5つ使用して能力をカスタムできるのだ。
さらに、このたねの使い方でキャラクターに【性格】が設定され、レベルアップ時の成長も変化する。
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さらに、新規に【盗賊】という職業が加わった。
盗賊は魔法とは異なる【スキル】という能力を使い、敵から物を盗んだり、忍び足で敵との遭遇を避けたりと冒険をサポートする職業だ。

システムやイベント面では、クリア後に遊べる追加ダンジョン、ちいさなメダルを集めて特別なアイテムをもらうシステム、袋や樽、井戸を調べられるシステムが追加されている。
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▲ただし、本作はガラケー版の移植なので、スーパーファミコン版にあった【すごろく】はプレイできない。

また、経験値が多めに手に入ってレベルアップが早くなり、強力な武器や防具も追加されたのでサクサクゲームが進む。
ただし、「毒を受けたけど毒消し草がない!」とか、「新しいマップにきたら敵が超強い!」などの苦戦するバランスは生きているので、プレイの緊張感は残っていて、このあたりはさすがの調整と思わされる。
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ゲームが堅実に楽しいとなれば気になるのはタッチパネルの操作性だが、ここも気になる点はない。
ドラクエ1、2に採用されたバーチャルスティック移動を採用していて、快適に操作できる。
ただ同じものを流用しているだけではなく、操作性の微調整もされているのか、以前よりも操作しやすく感じた。
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また、ドラクエには鍵がないと開けられない扉が出てくる。
オリジナル版では、この扉が出てくるたびに鍵を使って開ける必要があった。
が、今作では鍵を持っていれば扉に向かって移動するだけで鍵を開けられる。
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バトルでは仲間をオートで動かすこともでき、勝敗がわかりきったバトルでは操作の手間が省ける。
回復魔法でパーティー全員のHPを全回復させる【まんたん】コマンドも追加されており、回復もラクラク。
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さらに、セーブシステムも快適になった。
今までのドラクエシリーズでは、ゲームを中断すると以前の中断セーブは消えてしまっていた。
しかし、ドラクエ3では中断セーブの履歴を残せるので、「うっかり上書きしてプレイが巻き戻る」なんてことはない。
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初代ドラクエ、ドラクエ2ではイマイチだったドット絵も、今作は普通に見られるものになっていて、ほぼ文句なし。
ゲーム内容よし、移植度よし、操作性よしで、ドラクエ3が好きだったプレイヤーなら満足できるし、初めてプレイする方も1,200円の価格分は楽しめると思う。
自分も久々にドラクエ3をプレイしたが、今でも楽しめることに驚かされた。

さすがに最近のRPGと比べると1,200円で購入するのは高く感じられるので評価は6としたが、このゲームには歴史的価値がある。
そういった観点で言うと、評価はそれ以上ともいえる。初代ドラクエからドラクエ3までは日本RPGの歴史とも言えるからだ。

ドラクエの産みの親、堀井雄二さんが初代ドラクエを作ったとき、すでにドラクエ3のシステムを思いついていたが、当時はRPGの知名度が低く、日本人の多くはRPGの遊び方すら知らなかった。
そこで、初代ドラクエをシンプルな形にまとめてRPGの基礎を広め、ドラクエ2でパーティーシステムや乗り物を追加して複雑度を上げ、ドラクエ3の発売までに段階的に日本人にRPGを普及させたのだという。
そのうえにドラクエ3を発売し、社会現象とも言えるヒットを生み出したわけだ。

スマホに移植されたドラクエのロト3部作をプレイすることで、マニアックなプレイヤー層ではなく、多数派のプレイヤーにRPGが受け入れられていった、日本RPGの歩みを勉強できる。
日本RPGの歴史を感じる意味でも、このゲームには価値がある。

評価:6(面白い)

課金について
なし

おすすめポイント
  快適な操作性
  スマホで懐かしの名作が楽しめる
  自分の好みでパーティを組める
スマホでも遊びやすいバランス

気になるポイント
  育成に大きく関わる性格の説明がない

(バージョン2.1.0、GCドラゴン)

アプリリンク:
ドラゴンクエスト3(無料のポータルアプリから購入)(itunes 1,200円 iPhone/iPad対応/ GooglePlay)

2020.10.26 修正:
RPG=ドラクエの部分が、歴史的にRPGがドラクエしかなかったかのように見えたので、RPG=ドラクエと思っているプレイヤーという意味に見えるよう、書いた本人の同意のもと修正しました。