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聖剣伝説2 レビュー - 匠の仕事が光る移植。スマホでも快適に遊べる聖剣伝説。

聖剣伝説2 (itunes 900円)
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コミカルなキャラクターが軽快に動き、広い世界を自由に動き回れるアクションRPGとして、ゲームの歴史に名を残す『聖剣伝説2』。
今日紹介するのは、その『聖剣伝説2』のiOS版だ。

さすがに今となっては古いゲームなので多くの人に勧めることはできないが、移植の出来はとても良い。
原作の味を損ねず、タッチパネルで遊ぶためにさりげない工夫もあり、『聖剣伝説2』ファンならば買って損のない内容となっている。

聖剣伝説2は、聖剣を操るランディ、回復魔法が使えるおてんば娘のプリム、攻撃魔法が得意な妖精ポポイの3人が世界の危機に立ち向かう王道ストーリーのゲームだ。
コミカルなデザインや世界観が魅力的で、後に続く『聖剣伝説』シリーズの方向性を決めたゲームとも言える。
大砲で主人公を発射する「大砲屋」や強欲商人の「ニキータ」など、その後のシリーズにも登場するキャラクターも『聖剣伝説2』から登場している。
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▲大砲で人を撃ちだして移動する図。初めてのときは驚いた。

ゲーム面では、3人のキャラクターを操作するアクションがとても新鮮だった。
プレイヤーは3人の主人公をうち1人を操作して立ち回り、残りの2人の主人公はAIが操作して一緒に戦ってくれる。
操作も軽快で、画面だけならオーソドックスなアクションRPGのようにも見えるが、どっこいそうはいかない。
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このゲームのアクションには癖があり、それを乗り越えなければ楽しさまでたどり着かないのだ。
まず、武器は闇雲に振り回しても敵にダメージを与えられない。
画面下の「溜め」が100%になっていないと、武器が当たってもダメージがとても低くなってしまう。
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▲画面下のゲージ。攻撃ボタンを押しっぱなしにしていると、100%を超えてゲージが溜まり、必殺技も出せる。

アクションのように見えてRPGなので、見かけだけ敵に攻撃が当たっていても「命中率」が低ければ攻撃が外れてダメージを与えられない。
敵がダメージを受けた後の無敵時間も分かりづらく、これらを理解するまでイライラするプレイヤーは多いだろう。
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▲攻撃が当たっているのに「MISS」の文字。最近のアクションRPGじゃなかなかない。

さらに、敵が魔法を使うとプレイヤーが回避できない。
必ずダメージを受けてしまうので「アクションなのに避けられない」理不尽を感じる。
敵の行動パターンもランダムのようで、運が悪いと連続で攻撃魔法を受けて、回避できずに全滅することもある。
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▲魔法を使われたら避けられない(状態異常系は確率で回避できる)。

ただ、システムを覚えて中盤までいくとゲームが一気に楽しくなる。
このゲームでは連打ができないので、100%攻撃を放っては逃げ、また100%まで溜めては攻撃する「ヒット&アウェイ」の戦法が基本となる。
その動きが操作の軽快さとマッチしており、攻撃と移動をテンポ良く繰り返すリズミカルなアクションが楽しめるのだ。
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アイテムや魔法が豊富になると魔法攻撃にも対処できるようになるし、あまり理不尽感は感じなくなる。
『聖剣伝説2』のファンの方には説明するまでもないことだが、このリズミカルなアクションがゲームの醍醐味なので、もし「ゲームの古典に触れよう」と思ってプレイする方がいるならば、中盤あたりまでプレイしてこの面白さを味わって欲しい。

で、そんな昔のままのシステムの『聖剣伝説2』だが、細かいところを見るといろいろと手が入っている。
オリジナルは8方向移動だったが、スマホ版は360度自由に移動できるようになり、プレイヤー指のスライドに合わせて快適にキャラクターが動く。
タッチパネルだとボタンの感触がなくて操作が不正確になる点を、360度移動の快適さが補う形になっている。
そのおかげで、結果的にゲーム機で遊んでいたときのように快適に遊べる。
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▲オプションでキーパッドを設定すれば、オリジナルと同じ8方向移動にもできる。

スマホで操作していると、画面端が指で隠れる。
これに配慮してマップの境目の判定が大きくなっており、キャラクターが画面端にまで移動しなくても、境目に近づけば吸い込まれるようにマップを移動してくれる。
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また、オリジナルでは3人のキャラクターのうち1人でも画面端に引っかかると、それ以上画面がスクロールできなかった。
頭の良くないAIが画面に引っかかり、何度も引き返した記憶がある。
しかし、iOS版ではその制限がなくなり、ほかのキャラクターが見えなくなってもゲームが続けられるようになっている。
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▲ポポイを置き去りにして移動。小さな画面で自キャラ以外に注意を向けるのは難しい。もしオリジナルのままだったら…想像するだけで恐ろしい。

厳密に言えば完全にそのままの『聖剣伝説2』ではないが、タッチパネルで引き起こされる不都合をできる限り取り除くように細かい仕事がされている。
その細かい積み重ねのおかげで、タッチパネルでも満足に遊べる『聖剣伝説2』となっているのだ。

さまざまな工夫があるので、おそらく自分が見つけたものも工夫の一部に過ぎないと思う。
しかし、見れば見るほど単なる移植以上の「仕事」になっており、感心させられる。

ゲームの評価は最近のプレイヤーに合わせて「2.5」としてあるが、『聖剣伝説2』が好きだった方ならばお値段以上に楽しめること請け合いだ。
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▲ここまでくればクリアまであと一息。快適に遊べている。

ただ1つ気になるのは、輪っか型にアイコンが並ぶメニューの「リングコマンド」がタッチパネルでは使いづらいことだが…これが聖剣らしさの象徴でもあるので、あえて残したのはわかる。
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確かにリングコマンドがないと寂しいが、長く続けていると面倒さの方が勝ってくる。
別途スマホ向けメニューを作り、オプションでスマホ向けメニューに切り替えられたらもっと良かったように思う。

それ以外は文句のない移植なので、『聖剣伝説2』をプレイしたい方は即買いでOKだ。

最後になるが、『聖剣伝説2』が好きだった自分が今日までこのゲームを紹介してこなかったのには個人的な理由がある。
2010年にリリースされたiOS版は、音楽のループがスムーズではなかった。
子供時代になけなしの小遣いでサントラを買ったほど『聖剣伝説2』の音楽が好きだったので、「このバグは許せん!」と紹介を見合わせていたわけだ(今になって思うと当時主流だったiPhone3Gのハード性能上、スムーズなループが難しかったのだと思う)。

そして時は流れて2014年7月、突然のアップデートで音のループが解消され、4年越しにこのアプリを紹介することになったわけだ。
当時、『聖剣伝説2』の音楽ループが切れてがっかりした方も、アップデートを機にもう1回遊んでみて欲しいと思う。

評価:2.5(価格通りに楽しめる)

おすすめポイント
独特のリズムをつかむと楽しいアクション
細かい改良で、スマホでも聖剣伝説2が楽しく遊べる
コントローラー対応

気になるポイント
さすがに最近のゲームと比べると不親切
リングコマンドがタッチパネルでは使いづらい

課金
なし

(バージョン3.0.3、GCドラゴン)

アプリリンク:
聖剣伝説2 (itunes 900円)