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続、Threes!と2048問題。AppStoreのパクリ問題を解決するには?

『Threes!』と『2048』の間にある問題。早すぎるパクり系の登場がゲームに与える影響で、独創的なアイデアを持ったゲームが出ても、利益を出す前に類似ゲームがでてしまうと作者に利益が入らず、結果的に作者が業界を去って面白いゲームが少なくなると書いた。

では、それを守るにはどうすればいいのか、自分の考えを書いていきたい。
前回のラストで、Apple が守るべきなのか、法律で縛るべきなのかなどと書いたが、結論から言うとどちらも無理で、ゲームが好きなユーザーが守るしかないのではないかと思っている。

まず、パクリ、亜流系ゲームはたくさん出ているし、法律違反ではない。
コピーとパクリの線引きは難しく、「これはOKで、これはアウト」と基準を設けて判定はできない。
また、規則でアイデアを守ってしまうと、特定ジャンルの発展系のゲームが出なくなってしまう。
例えば、Temple Run を法律で守ったら One Epic Knight も、Subway Suffer も出ない。
それではあまりにツライ。
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法律で言うと、限定されたルールならば特許を取れるかもしれないが、あくまで限定的だ。
また、費用や時間の面で小さい規模の開発会社がそれをすることは厳しい。
つまり、アイデアを法律やAppleの審査で守ることは難しい。

なので、仕組みで守れないなら、そういったゲームが好きなプレイヤーたちが守っていくしかないという結論になった。
ユーザー側が「守ろう」と言い出す業界は商業的に終わっていると言われるが、そもそも商業に乗りづらい面白いアイデアを応援するのだから、仕方ない。
開発者側が守るのであれば、スタミナ系のソーシャルゲームを開発したり、複雑にしてコピーされづらくするしかない。
つまり、本来我々が欲しかったゲームが受け取れなくなってしまう。

応援の方法は意外にも簡単である。
面白いと思った作品を購入し、面白さを伝える記事をツイッターやFacebookなどで共有するだけでゲーム制作側はかなり助かる。
さまざまなアンケート調査で、アプリDLのきっかけの2位は「アプリを購入した友人のすすめ」とある。
つまり、面白いゲームを意識的に応援するだけで強力な応援になるのだ。
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スマートフォンアプリのダウンロードに関する実態把握調査より

ゲームキャストの経験から言うと、ただツイートするよりも感想をつけて「どんな人におすすめか」などを入れるととても効果的だ。
もちろん、嘘をついてもしょうがないのであくまで正直に。


オリジナルの大切さを訴えた記事をツイートしたり、派生ゲームをプレイしている友人に「これの元になったゲームがあって、そっちも面白いよ」と伝えるのもありだと思う。
気をつけたいのは「そのゲームはパクリだから消えるべき!」というような言い方をしないことだ。

Threes! と 2048 を例にとってみよう。
前に書いた通り、2048 は基本の仕組みで Threes! を踏襲しているが、楽しみ方は違うアレンジゲームだ。
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▲1と2の処理が奥深い

そんなゲームを楽しんでいる友人に「それはパクリだからダメ」と言えば反感を買ってしまうし、実際に表現としても正しくない。
ときにゲーマーは過度に攻撃的になってしまうことがあるが、おすすめのものを応援したいときに「これはダメだからこれをやれ」というのは良くない。
(これは、ゲームキャストとしても大いに反省するべきところだ…)

さらに一歩踏み込んでみると、パクリ系を広く取り扱うメディアを見ないようにしたり、掘り出し物のゲームを見つけるメディアを応援する、ということも考えられる。
このあたりは、swipeiPhoneacあぷまがなど、パクリ系をパクリと断じていたり、取り上げないようにしていたりする良質の草の根サイトがある。
手前味噌になるが、ゲームキャストもこういった問題を意識し続けているつもりだ。

自分が目にする大手サイトでは、例えば4gamerやファミ通Appはそのあたりがしっかりしていると感じるし、売れ行きやPVがとれそうかどうかに左右されず、独自の基準でゲームを紹介するコーナーもある。
面白いゲームを広め、パクリ系と距離を置くサイトを応援する小さな応援の積み重ねが、長い目で見て良いのではないかと思っている。

スマホの普及で爆発的に増えた、ライトユーザーはオリジナルや開発メーカーを意識しないことが多い。
しかし、彼らもゲームにはまると「おい、あれは自分の好きな○○のパクリじゃないの?」とプレイした物に関しては意識して発言することもある。
(例えば、パズドラのパクリ系に風当たりが厳しいように)

つまり、彼らのなかでもパクリは良くないと思っているプレイヤーはいる。
地道に声を上げることでゲームのルーツを意識するユーザーを増やしていくのが、今できることなのだと思う。


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