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レビュー: テイルズ オブ ハーツ R - 新たな心に出会うRPG、PS Vitaから完全移植。

テイルズ オブ ハーツ R (itunes 3800円 iPhone/iPad対応)
課金:LVUP、追加衣装、ゲーム内通貨(なくても十分楽しめる)
開発:
NamcoBandai Games Inc.
評価:3.0(面白い)

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コンボが気持ちいいアクション
豪華なアニメーションとムービー
動くアイコンによる掛け合いが面白い
探索していて楽しい街
アクションの肝であるチェイスシステムを使えるのが遅い
ダンジョンでの視点変更がなく先が見えづらい

2008年にDSでリリースされ、そのリメイクとしてPS Vitaに移植されたRPG『テイルズ オブ ハーツ R』が、なんとiOSでリリース。
スマホゲームとしては高価格な3800円という価格。
だが、ゲーム専用機のRPG、それもバンダイナムコの看板タイトルゲームということでクオリティはかなりのもの。
スマホで普通のRPGを楽しみたい人にもおすすめできる内容となっていた。
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ただ、1つだけ最初に書いておくとストーリーは良くできているが好みは分かれる。
ヒロインの感情を取り戻すために旅を繰り広げ、個性豊かな仲間たちと日常のドタバタ劇を楽しみつつ展開していくアニメ的な進行。
王道というか、クサいというか、そういった展開がダメなプレイヤーは少し辛いかもしれない。
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だが、そのあたりが大丈夫ならば、コメディ調の会話やなんだかんだで盛り上がっていくストーリーを楽しみ、キャラクターたちに愛着がわくいい感じのRPGだ。
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Vitaのゲーム…つまり専用ゲーム機向けそのままのクオリティはさすがにリッチ。
起動してすぐに流れるオープニングはクオリティが高く、アニメーションとともに歌が流れ冒険の雰囲気を彩る。
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ストーリーの山場やキャラクターの登場シーンなど、重要な箇所ではムービーが入って場の雰囲気を盛り上げる。
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ムービーだけでなく3Dのキャラクターが動いたり、挿絵が入るなど状況に応じてテンポの良い演出が場面を盛り上げ、キャラクターはボイス付き。
どこかしらを省いて安くあげるスマホのゲームではなかなか無い豪華さだ。
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会話シーンではキャラクターアイコンが浮かび、表情の変化がイラストででるのはもちろん、その場からいなくなればほかのアイコンを押しのけて画面外に移動していくような動きまであり、表現のパターンが豊か。
ボイスと合わせてアニメーションとして動いてる姿が想像できるほど。
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全体的にグラフイックも綺麗で、背景やダンジョンも場所それぞれに印象的。
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▲外から見た街も同じ形のアイコンではなく、形に個性がある。

街やフィールドを探索しているとメインのストーリー以外にもサブイベントがあったり、街の住人との会話がイベントの前後で変わるなど、細かくきっちり作りこまれている。
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見た目、イベントの豊富さなどゲーム機の豪華さはそのままで、簡易RPGばかりやっていると「ああ、これだよなぁ」と思わされる。

が、ゲーム機のゲームを移植すると決まって問題になるのは操作性。
そう思ってプレイしてみるとこちらもしっかり作られていて驚く。
移動は画面の好きなところタッチすると出現するスティックで移動し、何かある場所では別途ボタンが表示されてそれをタッチするだけ。
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買い物やメニュー操作はボタンタッチ式に変更されており、画面もタッチする部分が大きくなっていて操作に不自由はしない。
ベタ移植ではなく、しっかりスマホ向けに作っていることが伺える作りだ。
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バトルは複数の味方キャラクターと敵が入り乱れて戦うアクションバトル。
キャラクターから一人を選んで自由に動かし、それ以外の仲間はAIで行動をする。

キャラの移動はスティックで行い、通常攻撃や術技(“TP”を消費して使用するスキル)ボタンで攻撃。
ガードボタンをタッチやフリックしてステップやガードで敵の攻撃を回避・防御するかなりきっちりしたアクションが用意されている。
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魔法を使おうとしている敵を攻撃して妨害したり、味方を囮にして戦うことで反撃を受けづらいようにして戦うなど、ある程度戦術を駆使して戦うことも可能。
攻撃ボタンだけでターゲット追尾して攻撃してくれるので戦う事自体は難しくない。
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▲ターゲットはボタンでチェンジするか移動しながら直接攻撃することでチェンジ

アクション的な駆け引きがあるだけでなく、直感的にボタンを押しているだけで大量コンボが楽しめるお手軽な楽しさもある。
まず、術技は“TC”というポイントが残っている限り、連続技として組み込んで使用することが可能。
これを利用して連続コンボを簡単に作ることができる。
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ここまでだとまだ地味なのだが、途中から使用できる“チェイスリンク”システムを発動すると敵が一時的に行動不能となり、一気にコンボを叩き込む爽快ゲーに変わる。
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これはバトル中、敵に青い印が付いた際に相手を打ち上げることで発動し、宙に浮かんでいる相手をひたすら攻撃できるというシステム。
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“チェイスリンク”の発動中は、ワンボタンで敵に向かって高速移動する“チェイスムーブ”を行うことができ、攻撃で敵を吹き飛ばしては追いつき、また攻撃で吹き飛ばす…。
簡単操作で誰でもドラゴンボールのような連続攻撃を決めることができ、かなりの爽快感だ。
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さらに、バトルで通常のLVアップのほかに、“ソーマポイント”を割り振り、戦士タイプや補助タイプなど自分の戦闘スタイルにあったスキルや能力を強化していくことも可能。
これを考えて成長させるとまたコンボの幅がまた伸びる。
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なお、アクションが苦手ならチェインムーブをオート操作にして操作を簡略化したり、戦闘自体をオートとして作戦だけを設定した指揮官モード的にも遊ぶことも可能だ。
難易度も選択可能で、イージーならひたすら攻撃してるだけでも勝ててしまうので、ストーリーを楽しみたいプレイヤーならそちらで楽しむのもOK。
ソーマの成長についても自動で成長させてくれるボタンがあり、スタイルに合わせたプレイが可能だ。
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バトルのAIについてもある程度設定が可能で、大雑把に回復重視や攻撃バランスを決めるだけで充分に機能するレベル。
さらに、「体力がいくつ以下になったら必ず回復を行う」などの細かい行動パターンも設定することもできる。
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全体として操作にも問題なく、ゲーム好きからストーリー重視でアクションが苦手な人まで、専用ゲーム機のクオリティで楽しむことができる良作と言えるだろう。

強いて言えば気になる点が3つ。
まず、爽快なアクションの要である“チェイスリンク”システムが初期にはなく、最初の数時間はバトルがあまり面白くない点。
ガードやステップなどバトルの要素が多いので慣れた頃に追加ということなのだろうが、それまではテンポが悪い。
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続いてダンジョンでの視点変更がない点。
カメラの死角になっている場所にアイテムや通路があることもあり、いちいち画面端まで歩くのが少々面倒だ。
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▲画面右上にマップもあるが近くの出口などに気づきづらい

そして、最後がiPadでやるとプレイしづらいこと。
操作がiPhoneの画面サイズ前提で作られているため、全体的に操作がやりづらくなってしまう。
また、画面が元のPS Vitaより大きくなるので、隙間が大きくなって画面がちょっと寂しい。
このゲームはできればiPhoneでプレイするべきだ。
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▲iPhoneだと上下の帯もなく、画面も閑散とした感じにならない。

ただ、それ以外はあまり気になるところもなく、現在スマホでプレイできるARPGとしては最高クラスのものといっていい。
リリースから半年のVITAソフトが3800円で、スマホゲームとして操作性も快適。
難易度によって変わるがクリアまで25時間ぐらいは遊べ、十分満足できる作品だと思う。

スクエニ以外にもバンダイナムコが過去の名作を移植し、高価格帯での販売に成功すれば今後もハイクオリティなゲームがスマホで遊べる可能性もあり、ぜひ上手く行って欲しいところだ。

アプリリンク:
テイルズ オブ ハーツ R (itunes 3800円 iPhone/iPad対応)

動画: