アニメFate/Zeroをゲーム化した『Fate/Zero The Adventure』というゲームが本日リリースされたのだが、実はその中でスタッフロールに載っているので、今回はそのことについてお話したい。
事の起こりは2012年の下旬…ある人から「実は、うちでゲームを作っているんですけども、見てみませんか？」と言われたことだった。
ゲームはもちろん、アニメFate/Zeroのもの。
自分はあまりアニメを見ないのだが、ファミ通Appで『拡散性ミリオンアーサー』のFate/Zeroコラボイベントの記事を書いた後であり、ちょうどFate/Zero見終えて…はまった後だったので一も二もなく見にいった。
そして、それがすべての始まりになった。
知らない方もいるかも知れないので説明しておくと、Fate/Zeroは願いを叶う権利をめぐって様々な勢力が争う“聖杯戦争”を描いた物語。
様々な陣営が、歴史上の偉人の霊を召喚して戦う、現代ファンタジーだ。
と 言っても、最近よくある美少女が出てきてひたすら可愛いというものでもなく、それぞれにキャラクターが背負っているドラマがあり、キャラクターの成長（個 人的にはウェイバーというへたれなキャラクターが成長するのが個人的に超熱い！）も描かれていて、下手な少年漫画より断然アツい。
で、それを見に行ったのだが…正直、最初から不安だった。
担当している会社のポッケは占いの会社で、ゲームの会社ではなかったからだ。
果たして、当時見せられたものはお世辞にもすごいといえるものではなかった。
製作中というのもあるが、効果音から何までメチャクチャ。
本来はFate/Zeroのアニメの終了に合わせてリリースする予定だったが、その時期にギリギリ形になったものはあまり良いものとはいえなかった。
これは技術的な問題ではなく、ポッケと一緒に開発している制作会社自体は実績のある会社だったが、時間が足りなかったという問題による。
アニメ系のゲームは「放映時期」という寿命があり、これに左右されて売上が変わるので時間の制約の中で制作される。
その見積りに少し無理があったということだ。
商売的には当然、アニメの放映時期にリリースしなければ売上が下がることが予想される。
しかし、これをこのままリリースしては…大変なことになるとしか思えなかった。
「これをこのままリリースすると、黒歴史としてWikipediaに載ってしまう可能性が…」
と、当時ポツリと漏らしてしまった記憶があるが、それを聞いていたのかポッケが出した結論は「クオリティを上げてファンに満足してもらいましょう！」でひと安心した。
自分もやる気を出して、たまに送られてくるテスト版を見て「ここ、音が荒いですねー」「ここのフェードは早いかもしれません」とか、できる範囲ではアニメのファンとして協力させてもらった。
ほとんどは重箱の隅をつつくような細かいことを述べただけだったのだが、彼らはいちいち細かく対応してくれて、
「音が粗いところはそこだけ高音質で再生できるようにシステムに手を加えて音も作り直しました！」
「この部分、フェードについてはかなり調整してみました！」
とか、毎回ちょっと気になったぐらいで指摘したのが申し訳なくなるような状態だった。
リリース予定は2月、3月、夏…とどんどん伸びてしまい、完成したのはつい先日。
Fate/Zero自体が好きだし、自分も半分中の人と化していたので、客観的な評価はできない。
しかし、完成されたものを通してプレイした感想としてはファンアプリとして十分な内容に仕上がっていると思う。
まず、アニメで説明が足りなかった部分を小説からを持ってきてを補完しているのがいい。
例えば、アニメではバーサーカーの背景が端折られていたが、アプリではその辺りも演出があるので深みが増している。
次に、アニメカットをふんだんに利用したキビキビ映像が切り替わる画面。
アニメカットを利用したゲームは見た目がいまいちになってしまうと思っていたのだが、ufotableのアニメカットは異常にクオリティが高く、ゲーム画面としてみても違和感がなかった。
この辺りはufotableさまさまである。
アニメ終了から随分時が立ち、商機はのがしてしまったのかもしれないが自分はアニメファンとして買いたいと思えた。
ということで、Fate/Zeroのファンの方、気になったら『Fate/Zero The Adventure』をぜひ手にとって見て欲しい。
画像をふんだんに使用しているので2.1GBもの空き容量が必要で、価格も3000円とお高めなのでファン以外にはおすすめしないが、ファンならありだと思えると思う。
アプリリンク：
Fate/Zero The Adventure(itunes 3,000円 )
