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シンプルに熱い、定規戦のような原始的な楽しさ『フィンガーショットRPG』

フィンガーショットRPG(itunes 85円 iPhone/iPadの両方に対応)
課金:アプリ内通貨(なくても十分プレイ可能)
開発:Magic Cube
評価:3.0(面白い)
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シンプルでわかりやすいルールと、多彩な能力をもったキャラクター達。
コストの組み合わせによる、デッキ構築的な楽しみ。
ゲームの進行でデッキ構築の自由度が広がっていく成長の楽しみ。
一回のプレイが軽く、気軽に遊べる。
早送りが無いので、敵の数が多いと結構待たされる。
対戦が一番面白いのに、対戦モードはおまけ程度のつくり。
皆さんは小学校や中学校の休み時間に、机の上で消しゴムや定規をはじいてぶつけ合って遊んだりしなかっただろうか。
“定規戦争”とか“消しピン”とか呼ばれていた、机をリングに、定規や消しゴムを交互に弾いて相手をリングからはじき出すゲームだ。
現代風のおはじき遊びとも言えるかもしれない。
筆者は小学生の頃、これを“ジョーセン”と呼んでクラスの友達と休み時間のたびに遊んでいた。
今回ご紹介する『Finger Shot RPG』はそんな遊びをRPG仕立てにして色々な要素を追加したゲームだ。
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基本的ルールはこちらのユニットを弾き相手にぶつけて倒していき、敵ユニットを全滅させれば勝利というもの。
ゲームの進行はターン制で、速度の早いユニットから移動していく『タクティクス・オウガ』方式。
早いユニットは、遅いユニットが1回行動する間に2回行動することもある、速度によって行動回数が変わる方式だ。
順番が来ると、ユニットを移動させたい方向と逆側にドラッグして指を離すと発射する。
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▲ドラッグの長さによって移動距離を調節できる。

敵のユニットの倒し方は二通り。
1つ目はユニットをぶつけてダメージを与え、RPGのようにHPを0にする方法。
もう1つは“定規戦争”よろしく相手を弾いてステージの外に弾き出すか。
後者は敵ユニットのHPに関係なく即死させることができるが、弾いたユニット自体も勢いで外に出てしまわないように注意する必要がある。
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▲体当たりでダメージ。海(ステージ外)までふっ飛ばせば1撃。

と、簡単操作でルールもシンプル。
味方のユニットに自分のユニットをぶつけて、移動の遅いキャラクターを運ぶような位置取りのテクニックがあったり、順番を考えた弾く強弱の微妙な調整など、見た目より奥深いゲームだ。
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▲魔法使い系ユニットは強力だが遅いため、押してやるのも有効だ。

弾いた角度や強さによって、相手を弾き出すつもりが自分が死んでしまったり、他の味方ユニットの位置を利用して別の敵を攻撃したりと、状況によって微妙な操作や判断が勝敗をわけたりする。
この辺りの感じは非常に熱いので是非とも対戦をしてほしい。
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シンプルなこのゲームに彩りを加えているのが、ユニットの持つ多彩な能力。
ステージをクリアすることによって手に入るゲーム内通貨を消費することによって使えるユニットはどんどん増えていく。

ユニットにはそれぞれHP、攻撃力、防御力、スピード、射程の他に重さなどの能力値が設定されており、それぞれ使用感が全然違う。
弓矢で攻撃したり、魔法を使うようなユニットも存在しており、追加されるユニットが楽しみでどんどんゲームを進めていってしまう。
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▲なかには敵を凍らせたり、即死させたり(!)といった能力もある。

では純粋に強いユニットを探せばいいかというとそうでもなくて、ユニットにはそれぞれ“コスト”が決められており、合計がTotal ratio(総コスト)を超えるとパーティーには組み込めない。
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強力な能力を持つユニットはそれだけコストも大きく設定されているため、ただ強いユニットを入れておけばよいというわけではない。
この辺はデッキ構築のような面白さで、各自のお気に入りの編成を探すのも非常に楽しい。
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▲筆者が大好きなのはPriest。特殊能力はなんと敵を一回自由に操れる!

なお、総コストはゲーム内通貨で上昇させることができ、その他にも個々のユニットのレベルを上げる成長要素もある。
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その他、新ユニットの解放・特別のステージのプレイするのにもゲーム内通貨は必要だが、地道にやっていても十分にお金が手に入るので課金して手に入れる必要はない。
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▲ユニットのレベルが上がるほど金額もかかるようになる。

遊べるモードは“キャンペーン”と“マルチプレイ”のふたつ。
このゲームのメインモードとなるキャンペーンはCPUを相手にステージをクリアしていく形式で、クリアすると3段階で評価され、評価に応じてゲーム内通貨が手に入る。
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▲通常ユニットをひとまわり巨大にしたようなボスも登場する。

マルチプレイは対人戦をするモードで"ローカル"と"オンライン"の二種類が用意されている。
"ローカル"は一つの端末を交互に持ち替えてプレイするモード。
"オンライン"はGameCenter経由で対戦することができる。
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おすすめは"ローカル"で、このモードは総コストが最大の300に固定されていて、好きにチームを組むというもの。
iPhoneが一台あれば交互に渡してプレイできるし、このゲームに関してはプレイヤー間での非公開情報もない。
ぜひ知り合い同士でリアルに顔を合わせて「うおっ!」とか言いながらプレイしてみてほしい。
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▲キャンペーンで手に入れたユニットだけが使えるのでゲームを進めておくと更に楽しい。

"オンライン"の方はそれぞれのプレイヤーのキャンペーンでの総コストと使用ユニットをそのまま使って対戦することになるのだが、ハンデ設定等がまったく出来ないためキャンペーンの進行度の差によってはまったく勝負にならないこともある。
知人同士で、ある程度ルールや使うユニットを決めて戦うならば面白い。

1つ難点を挙げるとすればいずれの対戦モードもとても楽しいのだが、ステージすら選べない簡素な作りになっているのがもったいない。
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“定規戦争”さながらのシンプルかつ熱い戦いと、RPGライクな様々な要素をうまく組み合わせた素晴らしい本作。
直感的でとっつきやすいゲームになっているので見た目のシンプルさに敬遠せず、ぜひ一度プレイしてみて欲しい。
おはじき+RPGというと『スクイーズ』のような洗練されたゲームも出ているが、本作からはもっと原始的で根源的な面白さを感じることができると思う。

周囲に対戦相手が居る人や、ちょっとした遊びを共有したいカップルにもおすすめだ。
CPU戦は後半待ち時間がキツイのが難点だが、対戦の面白さを考慮に入れて、評価は3.0で。

(越前オブ・ザ・デッド) レビュー時バージョン1.2.3

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フィンガーショットRPG(itunes 85円 iPhone/iPadの両方に対応)