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レビュー:Karateka オールドゲーマーよ、いまさらカラテカネタで盛り上がるのだ!

Karateka 250円 iPhone/iPadの両方に対応
開発:Karateka LLC.
評価:2.5(価格通りに楽しめる)
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ネタゲーであるということを意識したプロモーション
カラテカにある要素をきっちりリメイク
ゲーム内容がシンプル・短すぎる
婚約者のマリコ姫を連れ戻すため、アクマや部下達と闘う空手アクションとして1984年にリリースされた『Karateka』。
実際に格闘家の動きからドット絵を起こした動きの素晴らしさが話題になったが、自分が知ったのはファミコン版。
西洋人から見た“間違った日本”が炸裂しており、なぜか悪党たちと戦う前には礼。
礼をしなければ敵AIが超高難度になってしまうので、ある意味バトル技術より礼が重要。
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▲カラテカはいかなるときも礼の心を忘れない。

スタート地点から後ろに歩くと崖から転落して即死、構えの姿勢をとっていないとどんな攻撃を受けても即死、柵を超えるのに失敗して即死…など、ネタ要素満載のゲームとして今でも話題にのぼることがあるほど。
そして、28年ぶりにリリースされたリメイク作品はグラフィックが格段にパワーアップ!
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マリコ姫もこの通り。
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▲でもなんか怖い。

ゲーム部分は当時のシンプルなゲームを出来る限りリスペクト。
一本道を走っていくシーンはそのまま、だけども、風景がどんどん変わっていくので道中歩くことを楽しむことができる。
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バトルは敵の攻撃をガードし、隙をつくりだして反撃する『Infinity Blade』スタイル。
だが、かなり簡易化されていて敵の攻撃に合わせて画面をタッチするだけでどんな攻撃もガード可能。
タッチする場所はどこでもいいし、タイミングさえ合えば防御は成功するので結構簡単。
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敵の最後の攻撃をガードすると反撃タイム。
画面を連打で主人公が連続技を繰り出す。
こちらもコマンドなどはないので適当に連打でOK。
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そして、ガードが成功したり、敵を攻撃するとたまる中央のCHI(気)ゲージが満タンになると必殺技が使える要素も。
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時折、道に落ちている花を拾うと体力回復する。
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敵を倒したら次の敵が出現し、また倒す。
やられたら最後の一人になるまで新しいキャラクターで立ち向かう。
原作と同じく、これがクリアまでひたすら続く。
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▲敵の出現演出や背景の流れもよくみると原作リスペクト

難易度はどちらかと言えば簡単で、難易度も慣れているゲーマーなら1回目でクリアしてしまう程度。
全体でも15分程度で、超お手軽。
何も知らない新規プレイヤーにはグラフィックはいいけども、短くてシンプルすぎるゲームになっていると思うが、『Karateka』の現代風リメイクとしてみると、丁寧に作られていて、時間がなくてゲームを引退していたプレイヤーでも遊べるカジュアルさ。

個人的に素晴らしいと思わされたのは、最近のゲーム風にリメイクされていながらも初代でネタになっていた部分をちゃんとゲームから捨て去っていないこと。
例えば2本指タッチで礼。
礼をしたからといって難易度が変わるわけではないようだが、できることが重要なのだ。karate2

崖から落ちて死ぬ理不尽はなくなったけども、死ぬときは崖から落ちる演出が取り入れられている。
ゲームは2回まで死ねるが、グラフィックがリアルになった分、同じキャラが出てくるとリアリティに欠けてしまう。
そのため、1回死ぬたびに別人がマリコ姫を助けに立ち上がるという形式になっている。
キャラクターによってエンディングが変化し、最初の主人公でクリアできればベストエンディングに辿りつけるというように残機制だった名残をゲームに取り入れている。
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ひたすらに道中を進んで敵と戦うゲーム内容も原作の通り。
ネタになった部分も含め、ファンが「この要素は削ってほしくない!」という内容を忘れずに取り入れているのが好印象。
さらに、プロモーション広告までしっかりネタ。
まず、原作者のジョーダン・メックナー氏による解説動画をラストまで見て欲しい。


…ラストで脱力されただろうか。
さらに、中国だか日本だか分からないおっさんが実際に闘いながら展開するいい意味で胡散臭いトレーラー。


広告もゲーム内容も、全てがオリジナルの『Karateka』ファンに向けて一貫している。
開発者名もも Karateka LLC. このために作られたもので、素晴らしい潔さがある。
新規のゲームとしてはおすすめできないが、開発元自体がネタゲーである前提で作っているので、『Karateka』ネタの話で盛り上がったゲーマーなら「お、こうきたか」と懐かしめるはず。

自分は動画の胡散臭さと合わせ技で「買った!」と言わされてしまった。
250円はカラテカネタを使って盛り上がるための手間賃だ。
オールドゲーマーたちよ、2012年に蘇ったネタを存分に味わうがよいよいよぃ……(残響音含む)

アプリリンク:
Karateka(itunes) iPhone/iPadの両方に対応

2012年12月21日
冒頭の説明にファミコン版について触れる部分を追加しました。