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レビュー:FINAL FANTASY LEGENDS 光と闇の戦士 あの素晴らしいFFをもう1度。

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タイトル FINAL FANTASY LEGENDS 光と闇の戦士
ジャンル RPG
価格 体験無料
アプリ内購入 全章セット:2500円 / 1章:250円 / 2〜4章:各850円 /アレンジBGM:850円
日本語対応 あり
販売元:SQUARE ENIX | Version:1.0.1 | GameCenter:なし | 対応機種:iPhone / iPod touch / iPad | レビュアー:トシ
評価:2.5(価格通りに楽しめる)
レベル上げしなくても戦術で撃破できる幅が大きいバトル
キャラ育てが楽しいジョブシステム
FF IV・Vを意識して作られており、そのファンなら楽しめる。
グラフィックがFFにしてはチープ
操作にはなれが必要。最良ではない。
本作は2Dのファイナルファンタジー新作を望むファンに向けて作られた、ファイナルファンタジー(以下FF)の新作。
ガラケー版は全12章のシナリオを2年かけて順次配信していたが、スマホ版はグラフィックとサウンド強化して一度にリリースした。

本作の特徴はなんといってもFF IV・Vを徹底的に意識して作られたその内容。
オープニングからFC(ファミコン)・SFC(スーパーファミコン)時代同様、ブルーバックに白抜き文字でスタート。
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▲ファミコン時代からの伝統。

ファンタジーな中に機械がちょっとある世界観、ジャンプしてクルリと回るおなじみの動き、昔ながらのドット絵。
ストーリーもクリスタルを軸にして進み、ちょっと強引さが気になる昔の王道FF展開。
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▲恋愛メインではない、昔ながらのストーリー。

「飛空艇艦長のシド」のようなお馴染みのキャラクターから、「ルゲイエ博士」「魔剣士の国ファルガバード」「竜騎士のリチャード」まで旧作で聞いたことある名前が使われており、ファンサービス要素も。
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▲さらにおなじみの飛空艇。

キャラクターの成長システムにはジョブシステム(戦士や魔道士などの職業をプレイヤーが自由に設定できるシステム)をアレンジして採用。
キャラクターのレベルとは別にジョブレベルが存在し、ジョブレベルが上昇することでそのジョブが強くなるだけでなく、他のジョブに転職したときにそのジョブのアビリティ(特殊能力)が使えるようになる。
極めたジョブの能力と現在のジョブの能力を組み合わせてプレイヤーがキャラの個性を出していける楽しさはなかなかのもの。
さらに1人のキャラクターが極められるジョブには限りがあるので完全なキャラクターを作れないというのが悩ましく、面白い。
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バトルシステムはやはりおなじみのアクティブタイムバトル。
携帯のRPGでは標準とも言えるオートバトル(自動で攻撃し続けてくれる)も搭載し、ある程度お手軽なプレイも可能だ。
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▲オートバトル中は戦闘早送り。演出飛ばしにはいいのだが、その目的で使うと事故も起きる…。

システムがFFなら、細かい部分もやはりFF。
敵の行動パターンが豊富さも専用機のゲームさながらで、バトルは歯ごたえ十分。
雑魚でも油断していると大ダメージを受けてしまうこともあるし、ボスにまけることもしばしば。
ただ、理不尽に難しいのではなく敵に合わせてジョブを変更して倒すなど、レベルアップではなく戦術で乗り切ることも可能なのも嬉しい。
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▲戦士を全員魔法使いに変えたら余裕でクリアできたシヴァ戦。

街やダンジョンの隠し通路などにある宝箱から強力なアイテムが出てくることもあるので、寄り道したり探索するのも楽しい昔ながらの内容。
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▲お約束の隠し通路、家庭用より少ないけどちゃんとある。

町の人のセリフもちゃんと作られていて、イベント前と後など時系列に合わせてセリフも変わる。
安いRPGにありがちが画面のカクつきなどもない。
とにかく今時のコストを省いたスマホRPGよりも全体に豪華に丁寧に作られており、ゲーム内容はほぼ文句のつけようがない。

が、それに影を落とすのがその操作性。
移動に使う十字キー(指をおいた場所に現れるタイプと、固定タイプがある)は悪名高いiOS版の FF1・2 より遥かに使いやすいが、微妙な遊びのようなものがあって微妙に使いづらい
慣れれば支障なくプレイできる範囲ではあるが、高額アプリだけにここは最高級に快適であって欲しかった。
また、マップを調べる際はこの十字キーで方向を向き直すため、やはりまた面倒。
コレのせいでマップ移動や探索の面白さが少し減ってしまっている。
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▲移動はiOS版のFF3形式でよかったろうに…。

また、戦闘時もやはり慣れればプレイできるが問題がある。
タッチパネルに移行するにあたって最適化は行われているものの、ウィンドウをスクロールさせるときに誤入力が発生しやすい。
それでいて慎重に操作するとアクティブタイムバトルなので時間が進んでしまい、戦いが不利になる。
正直、もっと操作性を良くするかコマンド入力中は一切時間が進まないオプションが必要だったように思える。
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▲後半になってアビリティが増えると大変なことに…。

また、グラフィックはガラケー版をHD化しているがチープさが漂う。
SFCのFFはかなり細かく書きこまれたドット絵で、プレイしていた私はそこに描かれた以上のものを想像させてくれた。
単純にHD化するのではなく、HD化したらよりグラフィックを描きこんでもらわなければ当時の記憶とは違うものになってしまう。
また、戦闘エフェクトなどは作りなおされているが、召喚獣は小さいままなのもアンバランス。
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▲ガラケー版のグラフィックの方が想像力を刺激される…と思う。

それでも、全体としてみればしっかりと作られた大作RPGと言い切っても嘘ではない面白さ。
演出も徹底的に昔のFFをなぞっており、細かい点に目をつぶれば「SFCで出た新作のFFをプレイしている」という気分になれた。

スクウェアにもう1度ポリゴンではないFFを作ってほしい。
FF IV・Vが一番好きなFF。

という話はインターネットでもよく目にするが、このゲームはその声に対して初めてスクウェア・エニックスが応えた作品。
値段分の価値はあるし、私も含めてFF IV・Vあたりのファンならばそれ以上に楽しめるはず。
プレイヤーの数だけ「私のFF」があるのでここは人によりけりとは思うが、私にとってのFF度を100点満点で示すなら75〜80点ぐらいは間違いなくある。

では、SFC世代のFFのファンではないプレイヤーにとっては2500円の価値はあるのだろうか。
3Dグラフィックが美しい『CHAOSRINGS II』が2000円、DSのFF3をアップグレードリメイクした『FINAL FANTASY III』が1800円、そして最近発売された『すばらしきこのせかい』が1800円…。
見た目から考えると明らかに割高だ。
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が、結論から言うと、その価値はあると思う。
雑魚との戦闘が消化試合ではない手応えや、ボス戦をレベル上げに頼らずに倒せる戦術の自由度、キャラクターを育てていく楽しさは『CHAOSRINGS II』よりも上で、一方的に劣っているとは言いがたい。
ただし、同じベクトルの『FINAL FANTASY III』が奇跡的に良くできているので、こちらと比べるとコストパフォーマンスでは劣るというのが私の意見だ。
少なくとも、定番と言われるRPGをプレイしつくしたら次にこれをやってみる価値は十分ある。
AppStoreにあふれている800円のRPGを3本買うよりも結果的に楽しめるだろう。

AppStore の評価が低いのは無料プレイ可能な序章ではジョブが使えず、試しに1章を買ってみても本格的に楽しくなるのはジョブ選びの幅が広がり、組み合わせられる2章後半からという事で、序盤だけプレイして評価しているユーザーが多いことが原因のように思う。
また、追加購入でレトロ調の音楽にできるのが850円と高額なのに試聴もないなど、全体的に体験のさせ方を間違っている。

評価はゲームだけなら3.0としたかったところだが、グラフィックは後半になるほど召喚獣のしょぼさが目に付くし、操作性についても難点があるので減点して2.5とした。

FINAL FANTASY LEGENDS 光と闇の戦士(itunes)

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