| タイトル | iグレイルクエストⅠ・Ⅱ |
|---|---|
| ジャンル | アドベンチャー |
| 価格 | 1000円 |
| アプリ内購入 | なし |
| 日本語対応 | あり |
| 販売元：Faith, Inc. | Version：1.0.1 | GameCenter：なし | 対応機種：iPhone / iPod touch /iPad | レビュアー：トシ |
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 ゲームブックの原作を紙の雰囲気まで再現 |
| 描きおろしイラストも収録 |
| 絶版本が復刻 |
 原作を知らない人は高いと感じるかも |
| ゲームブックとしては単調。 |
今で言うところのノベルアドベンチャーを本でプレイするもので、読者が読みすすめながら選択肢を選び、それによってストーリー展開から結末まで変わる、「遊ぶ」本になっているのが特徴。
コンピューターゲームの普及などにより廃れてしまったが、最近になって復刊が相次いでいる密かに熱いジャンルだ。
『グレイルクエスト』は元々1985年に「ドラゴンファンタジー」という名前で刊行されており、ゲームブック熱の再燃を受けて2004年に版元を移して復刊されたもの。
作者のJ・H・ブレナンは「混沌の渦」「モンスター・ホラー・ショウ」などのゲームを出しており、その道のマニアの間では有名人。
アーサー王時代のイギリスに魔法で召喚された読者が、様々な困難を解決していく内容。
いかにも「翻訳口調」でユーモアあふれる文体、死亡すると必ず１４番の項目を読まされる独特のお約束が人気を博して全８作の人気シリーズとなった。
今回のアプリ版は全８作のうち『暗黒城の魔術師』『ドラゴンの洞窟』の２冊分を収録したもの。
しかも電子ノベルにゲーム的な演出を加え、文章についてもファンならクスリと笑えるちょっとしたおまけつきだ。
ゲームを開始すると、まず分身となるキャラクターを作ることになる。
このとき魔法を選んだり持ち物を購入したりすることもできる。
進行は基本はページをタップしたりスワイプでめくって読む電子ノベル形式…というよりもノベルそのもの。
ストーリーの区切りごとに
「●●するなら１４へ進め。」
「××するなら５８へ進め。」
というように、物語の中で主人公が取る選択肢が用意されており、選択に応じた項目へ進むと続きのストーリーが展開される。
場合によっては戦闘が発生し、「攻撃」「魔法」「アイテム」などで応戦。
結果は全てサイコロを振って決め、敵とプレイヤーが順番行動してHPが増減していく。
元はHPを筆記具などで記録してプレイしていたが、アプリ版ではこのあたりの処理を全てコンピューターが行なってくれて快適になっている。
ピンチの時に赤くなったり、ダメージに応じて敵のイラストがボロボロになっていく演出もある。
また、行った場所が自動で記録される「地図」機能も搭載されており、自分でマッピングする必要がなくなったのも便利で良い。
電子書籍としてみると読みやすいレイアウトに加え、文字サイズ変更やページをめくるエフェクトまであり、機能は合格点。
電子書籍にうまくゲームの機能を載せたアプリということができるだろう。
ゲームブック全盛時代にありがちだった、紙の日に焼けた雰囲気まで再現（羊皮紙という意見もあるが、私は日焼けした紙に見えた）しており、非の打ち所なし。
もう１つ重要な点として「イカサマ」がきっちり使えるのも嬉しい。
例えば、いつでも好きな場所に戻れる「しおり」を４つまで挟むことができること。
しおりはゲームで言うところのセーブにあたり、どんなに失敗してもすぐ戻ることができる。
また、コンピューターに任せて真面目に戦闘で遊ぶこともできるが、戦闘を飛ばして「勝ったことにする」イカサマも可能。
ゲームブックはズルしながら遊ぶ、というのも楽しみ方の１つで、ズルしても真面目にも楽しめるようにきっちり作っているあたり、「わかってるな」と感じる。
さて、長々とゲームのシステムについて語ってきたが、ゲーム内容について一言で言ってしまうと「即死選択肢が多く、推理するための情報も少ない理不尽アドベンチャーゲーム」。
ただ、即死や理不尽な展開もゲームブックの華（というか、そのせいでみんなズルしながらプレイしていた）なので、そういったものも味として許容できるならば、ゲームブックとしての再現度やストレスなくゲームブックを楽しむアプリとしてはレベルが高い。
ゲームブックが好きだったプレイヤーならこのアプリを買っても損なし。
今、復刻版を買おうとすると２冊で3000円だ。
5月31日まではセール価格で600円なので、本物の本と比べると80%オフとなり大幅にお得。
ゲームの歴史を知る意味でゲームブックをプレイしたことがない方がプレイするにもいい。
ただ、その場合は理不尽系ということをお忘れなく。
iグレイルクエストⅠ・Ⅱを購入するならAppStoreへ進め。
そうでなければ他のゲームを探せ。
