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見えてきた「拡散性ミリオンアーサー」。スクエニ最新作はカード系ソーシャルゲームの集大成か?

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ニコニコ動画の生放送「シシララ!第2回:拡散​性ミリオンアーサー」(別名ヘビーメタルサンダー宣伝番組)でついに概要が明らかになったスクエアエニックスの新作『拡散性ミリオンアーサー』。
ソーシャルゲームを見る第8回は放送の様子・語られた内容を紹介しつつ、拡散性ミリオンアーサーについて私なりの分析を書いていきたい。
番組はまず『CHAOSRINGS II』の紹介の後、『拡散性ミリオンアーサー』の紹介へ。

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最初はヒャダイン氏による曲の紹介。
シングルが1000円で、音楽ブランド「シシララオーバードライブ」のマスコット「シシララ」がゲーム内で使えるおまけコードが初回版にのみ付属している。


オープニング曲のショートバージョンはTGS2011の動画でも聴ける。

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声優やカードイラストなどの他のスタッフについても非常に豪華。
シナリオは「とある魔術の禁書目録」でヒットを飛ばしたライトノベル作家鎌池和馬氏。
「ゲームをやりながらラノベを読んでいるような気分になる」らしい。

ゲームの基本はカードバトル系だが、
「俺らがカードバトル系を作るとこうなるぜ!
カードバトルRPGになっちゃうぜ!」
と堂々宣言。

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そして、豪華オープニングアニメを紹介。
これが本当に気軽にDLできるのか!?

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つづいてゲームの紹介。
プレイヤーは剣術・技巧・魔法の3タイプからキャラクターを選ぶ。
この時点でどう見てもロワイヤル系に代表されるキャラ選択画面を思い出す。

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キャラクターは能力が異なると思われるほか、それぞれにサポート妖精が付いており、容姿と声が違う(かなりの種類のボイスがある)。
サポート妖精は最近のライトノベルの流行を取り入れてか、過剰に露出度が高い気がする。
さすがに、文章内容はエロノベルの領域には達していないとは思うが…ちょっと不安ではある。

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キャラクターを選ぶと、主人公カード+固定の仲間カードを入手。

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プレイヤーがアーサー王となり、アーサー王伝説よろしくエクスカリバーを抜くシーンから始まるが、なんと「98万3067人目」。
ミリオンアーサー=アーサー王が沢山…ということらしい。

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 ゲーム開始時の目的はブリテンを外敵から守ること。
「しよーとしてるぞ」というセリフや全体の雰囲気が完全にラノベ。

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そして敵。

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デッキに組み込んだカードが順番に出現し、次々とダメージを与えていく。
これは『ドリランド』などのバトルを派手にしたような絵面。
ただし、特定の組み合わせてコンボが発生する要素も。

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続いて豪華イラストレーター陣によるカード紹介後、シングルCDの目玉であるヒャダイン氏アレンジのオープニング曲をネタバレ映像と共に流す。

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ガチャと思われる演出とレア度表示。

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進化合成やカード合成でのレベルアップと思われる演出もあり。

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戦闘も3Dによるアニメーションあり。
ただ、敵は2Dの一枚絵だった。
主人公か重要な敵ぐらいしかアニメーションはしないと思われる。

最後に豪華さアピール。
曲数は30曲以上、ロープレにカードがついている印象でガチゲーマーからお墨付きももらったとのこと。
パッケージだと5800円いただきたいところ、基本無料で。
「無料なり」というクオリティには作っていないが、入り口の障壁を下げ、よりみなさんに身近に感じてもらいたいので基本無料にした。
始めたら、無料で最後まで遊べる。
一部コンテンツが有料。

『CHAOSRINGS II』は売りきりで発売した段階で終了するゲームだが、今回はリリースして初めてスタート。

「第2段、第3段と新しい遊びをどんどん盛り込んでいく。」
「毎月毎月カードはえらいふやしますんで」
「主題歌やアニメもどんどん変えていきたい。」

とアップデート予定を宣言して終了。

さて、これを見て思ったのは「順当な所できたな」ということだ。
すでにソーシャルゲーム、特にカードゲーム系は行き着くところまで行き、「合成」「ガチャ」「バトル」「協力」など盛り込むべき要素は決まりきっている。
次なる差別化は「同じシステムでもより豪華に」という、ファミコンからスーパファミコンのような進化である。
音声・オープニング・イラストの質などの向上はストレートにプレイヤーに届く。

また、シングルCDとゲーム内カードという商売もうまい。
ゲーム内アイテムコードのおまけに雑誌がついてくるといっても過言ではないモバイル系ゲーム雑誌の数々を見て分かる通り、人気ゲームはそれだけで人にいらないものを買わせる。
『ドラゴンコレクション』のカード付き漫画単行本は1人で3冊買う光景が見られ、翌日「1人1冊まで」と本屋に張り紙が出るほどだった。
これもそういった商売を狙っているのだろう。

「無料で最期まで楽しめる」というのもすでにソーシャルゲームでは常識だ。
そうできなければ、すでに流行らない。
カードゲームはすでに飽きられ始め、制限がきつくて不毛なものは大ヒットを期待できない。

ゲーム様式は既存の順当進化、商売方法も現在あるものきっちりやっており、現行ソーシャルゲームの集大成といえる内容になっている。
『CHAOSRINGS II』のとき「前作からほぼ全部進化していて褒めるしかない」と書いた。
それと同じような非のうちようのなさを感じている。

じゃあ、完全に豪華になったカードゲーム化というと、今までとにかく演出を簡素化し、ストーリーというものが鬼門であったソーシャルゲームに「シナリオ」という概念を持ち込んだという点で変化はある。
これにより、今まであまり仲間との連携とか、ただクリアするためにクリアしていたミッションにストーリーを楽しむという目的が加わる。

ストーリーが加わるだけでプレイヤーはRPG的に感じるか、というと多分、感じるだろう。
日本的なRPGをごく単純に分解すると、戦闘で勝つとストーリーが進み、また戦闘が始まる形式になっている。
戦闘はストーリーというご褒美を見るための作業であり、戦闘とストーリーさえあればRPGと感じるはずだ。
「コンボシステム」があると発表されていたが、これ以外にも従来のカードバトル系のゲームと比べると戦術性を実現する仕掛けがあり、単純作業ではなくRPGの戦闘っぽさが味わえるという仕掛けも当然用意しているはずだ。

これはかなり受け入れられるだろう。
モロにパズル+ソーシャルである『パズル&ドラゴンズ』がAppStoreでは連日1位を獲得しており、ゲーム性が高まったソーシャルゲームの需要が高いことを示している。
RPGの文法を取り入れたこのゲームは、既存のカード系ソーシャルゲームに飽きたプレイヤーにとって1つの魅力になり得る。

パズドラが突然変異とすると、こちらは現行の正常進化。
どのような結果になるか楽しみだ。
気になる発売日はAppleの審査次第、早ければ来週になるそうだ。


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