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ノベルアプリ1週間チャレンジ5日目「PWYW・Ameroad・チャリティー」新しい課金形態への挑戦。

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超水道さんは「iPhoneのノベルアプリを1週間で作る!」ことに挑戦し、ゲームキャストが出来るまでの様子をレポート。
5日目は、アプリに避けて通れない課金について。
1週間アプリで挑戦する新たな課金形態とは。
AppStoreで今回無料でリリースすることになるが、無料でも作る動機は様々だ。

・何かの宣伝のため
・広告を付けて儲ける
・ただ作りたいから

などなど。
ただ、超水道のようにコンスタントにものを、無料でひたすら創り続けるのは難しい。
超水道で作っているものもそうだが、外部にお願いしている音楽、その他諸々を無料でお願いしているのは超水道にとっても心苦しい。
よって、課金に関しても今回は実験することとなった。

が、超水道は無料でクオリティの高いノベルでDL数を伸ばしてきた経緯がある。
内容も広い層が読めるもので、学生のファンも多い。
つまり、有料で出すとメインのユーザーを切り捨ててしまうことにもなりかねない。

super
超水道のファンは中高生にも多いですし、お金を出さないと楽しめないものは避けたいです。
__________reasonably_small
このアプリは元々、20MBで出すために色々切り詰めていたから、20MBのアプリで全てを楽しめる。
それでファンには満足してもらう。
で、有料版は音質や画質を良くして『大ファンが楽しむために作りました、無料版でもストーリーは楽しめます』という感じのファンアイテムにしたらどうでしょう。
super
せっかく良い曲を提供してもらっているのに、音質が悪いのも寂しいですし、それならグレードアップ版とちゃんと告知をした上でやれそうですね。


そこで問題として出てきたのは有料課金の形態。

1.無料バージョンを有料でアップデートする
これが最も望ましい。
アプリが1つになるからAppStoreのランキングでも分離しないし、無料版を読んで気に入ってくれた人が買ってくれるかもしれない。

2.無料版と有料版を用意する
無料版は20MBで抑え、豪華な有料版へ誘導する。

色々考えた末、1が一番望ましいが、2を採用することとした。
1の方法はたしかに魅力的だが、20MBを超えないためにはサーバーを用意してアプリからダウンロードさせるプログラムを作る必要がある(Appleのサーバーはアプリ内課金で買うデータを置けない)。
小さなサークルではサーバーの準備が非常に厳しい。
また、アプリ内課金のテストに非常に時間がかかる。

ss4
2はダウンロード数が分散するがサーバーを用意しなくても良いし、リスクが少ない。
428 ~封鎖された渋谷で~(itunes)』で使用されたものと同じ形式だが、今回のノベルの場合は無料版で全てのストーリーを楽しめる。
曲も短く専用に作っているわけで、単純な劣化ではなく「20MBで作った中で最高」のものにしてある。
有料版は純粋なファンのための豪華版をという位置づけだ。
これは誤解がないように、説明文やアプリ名でわかるような差別化を図る。

__________reasonably_small
あと、もう1つ、実験というかやりたい事があって、これは超水道さんの考え次第なんだけど…。
元々、有料版って考えはなくて実験作だったし、さらに実験的なことがしたい。
具体的には、アプリの売上の一部でもいいから寄付したい。
super
えっ?
__________reasonably_small
今が3月でちょうど震災から1年、記憶が風化しかけてきている時でもあるし、話題になるかもしれない。
ゲームキャストとしては震災の復興を応援したい気持ちがあって…。
super
なるほど、社会貢献と宣伝を兼ねた企画というわけですね…。

2012年3月で震災から1年。
ゲームキャストでは昨年3〜7月のアフィリエイト収入を全額赤十字に寄付していた。
経済的な事情もあって途中で終わってしまったが、この機会に1度やっていきたい。
共同とはいえ、今回のアプリを実際に作っているのは超水道さんなので大きなことは言えないが、プロモーションも兼ねるということで快く承諾していただいた(感謝!)
ただし、豪華版のアプリ価格と寄付の割合などはまだ調整中。
実際のところ、有料にした場合は作曲者さんなどとの兼ね合いもあって全額とはいかないのだ。

しかし、アプリの売上の一部を寄付するとなると「次のノベルアプリを作るため、アップデートのための資金を集める」という目的を達成できないかもしれない。
ここに関しては別の案も準備していた。

super
今回は新しいことをやるということで、今話題になっているgumroadで曲のデータとかを売ってみたいと思っています。
__________reasonably_small
僕もそれは考えていて、アイデアが1つある。
最近話題のgumroad系に『Pay What You Want』の要素を加えてやるのはどうかな。

[Pay What You Want]とは、アプリ購入時にユーザーが支払いたいだけ払う、というもの。
開発者に価値を感じてくれているファンはアプリのために多く支払い、開発者は多く支払われればアップデートなどを行なっていく。
欧米のインディーズで行われ始めている試みだ。
こちらの記事がちょっと詳しい。

__________reasonably_small
itunesのアプリって、どんどん安くなっていくものだと思う。
だって、企業に混じって趣味でやっている個人がいて、利益をあげないでいい個人はクオリティが高くても無料でリリースしたりする。
実際、AppStoreにはここ1年でクオリティが高めの無料ノベルアプリがかなり増えてきたよね。
super
そうですね。
__________reasonably_small
そのアプリって、AppStoreでは売り切れないで永遠に残るから、時間が経つほどに普通の人は「無料のアプリがたくさんあるし、有料じゃなくてもいいかな」と思い始めて、ユーザーの相場観はすごい安くなっていくと思う。実際、有料でも無料に負けているクオリティのモノはある。
super
確かに、音楽や絵をふんだんに入れて、文章もいれて無料ってのは異常事態なはずなんですけどね。
__________reasonably_small
そう、だから時間が経つほどに埋もれないためにクオリティが飛び抜けていて高いか、無料なのに凄い何かがあるものにわかれていくと思う。
企業は個人の天才に価格競争で勝てないから…個人が作れない規模で勝負するしかない。
super
作るのは実際楽しいですけど、無料でやっているといつか作れなくなっていく時が来ますよね。
やる気や時間の限界というか。
__________reasonably_small
だね。
趣味でやっていると、ある程度続いても無料で永遠に続けるのは難しくてどこかで力尽きてしまう可能性が高い。
でも、その一方でクオリティがある程度以上のものを作っているのであればファンが付く。
ファンはもっと続けて欲しいと思うけど、アプリの価格以上は支払えない。
だからファン、つまり超水道の価値を認めている人が超水道にお金を払って『もっと続けてください』という環境ができるのか実験をしたい。
同人だけでなく、AppStoreで制作している人たちが抱える共通の課題だと思うから実験をするための企画である『1週間ノベル』でやるのは意味があるだろうし。


ここから会議が続く。
使用するのはGumroadではなくAmeroadとなった。
決め手はbitcashというコンビニで決済できる機能があるから。
クレジットカードがなくても、高校生ぐらいで熱烈なファンがいれば利用してもらえるかもしれないというのが大きな理由。

そして、売るものはファンが満足してくれるものにする。
ファンが投資してくれるのだから、欲しいものは物理的な何かだ。
デジタルデータでも良いが、デジタルデータは無限にコピーできる。
感謝の印を表したり、所有欲を満たすものを作ることにした。
AmaroadにあるTwitterアカウントを通知してくれる機能を利用して本人とコンタクトを取り、モノを郵送することとなった。

価格は2000円、3000円、5000円の3種類。
bitcashが2000円からというのが理由だ。
内容は以下の通り。

2000円:開発裏話+サウンドトラック+メッセージカード(郵送)
3000円:開発裏話+サウンドトラック+メッセージカード(郵送)+スタッフロールに掲載
5000円:開発裏話+サウンドトラック+メッセージカード(郵送)+スタッフロールに掲載+開発中のデータやボツデータ+無圧縮CGデータなど

また、アップデート希望も寄付してくれた方の話を優先的にピックアップしていく。
もちろん、超水道の方針と合わないものは受け入れないが、アップデート計画の中でやることを迷ったらそちらを優先し、そのことを応援してくれている人に伝えるのだ。
これが超水道ができることの中で、寄付に報いるギリギリぐらいだろう。

果たしてどれだけのファンがいるのか、実際に超水道に寄付してくれる人がいるのか、蓋を開けてみるまでわからない。
が、今回のテーマは「チャレンジ」。
限界まで新しいことに挑戦して見ることとした。

アプリ内で外部での課金誘導は審査で落とされる可能性がある。
なので、itunesで売ることのできないファングッズを売るという形なら大丈夫だろう、という魂胆
だ。
実際のところ、却下されたら申請が通るまでひたすらに形を変える必要はあるかもしれない。

super
1週間で作るだけでも新しいのに、まだ新しいことをするなんて…ワクワクしますね!

現在、他のメンバーは必至に各自の作業を行なっている。
その横で、私は落ちた時に改めてAppleの審査を通すための形式を考えている。
ミタヒツヒトは早速、開発中のデータからいろいろなものを集める作業が始めた。

発売されるまでが1週間ノベルチャレンジ。
当初の予定よりも遥かにチャレンジャーな企画になってきた気がする。

期間中毎日更新の超水道公式ブログも合わせてどうぞ!


※今回の企画にあたり、itunesやApple審査の仕組みなどについてアドバイスをアプリ界の妖精ことRucKyGamesさん、Evernote界最速の男、Fasteverのfrnkさんより頂きました。
本当にありがとうございました!

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