ゲームキャスト

面白いゲームを探すなら、ここ。

スマホウォッチ7:Android 市場という幻想をそろそろ捨てたほうが良い。

毎年、「来年はそろそろ Android の年」と言われ続けた Android。
2012年の見通しは昨年よりもさらに暗いものとなるだろう。
思えば、昨年期待されていたものはことごとくこけた。

Tegra 2 が Android タブレットをリードする!
Tegra 2 は確かに Android タブレットに採用されたがその性能は A5チップに遥かに劣り、 iPad 2 に押されてほぼ売れなかった。
 Kindle Fire が出るまで一番売れていた Android タブレット Galaxy Tab は Tegra 2 を採用していなかったし、Kindle Fire にも採用されていない。
Tegra 3 も恐らくはやらない。

開発環境が整い、機種間の差が気にならなくなる!
CPUに参入メーカーが増え、OSのバージョンが分岐し、さらに開発の手間は増えた。
Open GL に対応していないハードとそうではないハードの差はあいかわらず大きい。

OSバージョンが上がって iOS に負けない操作性が実現される!
Android 2.2〜2.3がいまだに主要な端末である。

これだけ悪材料が揃っている Android だが、ここに来てさらに状況が悪化している。
それは US での Kindle Fire の躍進である。
ついに Android にも iPad の市場シェアを食うタブレットが出て Android 派大喜びかと思えば、これがまた大敵である。

kindle
Amazon 製タブレット、Kindle Fire は100万台以上を販売して年末の市場を制した。
Galaxy Tab を一気に抜かし(Pocket Gamer Biz)て Android 端末でもトップクラスのシェアになった。
クリスマスシーズン、US では Google 直営の Android マーケットの10%ほどのDL数(Tech Crunch)に達したという。
しかし、この Kindle Fire は性能が低く、 OS には Android 2.3 をベースにカスタムしたオリジナルで Google が主流に使用としている端末ではない。
スマホウォッチ4:Kindle Fire の呪いで歩みを止めるAndroid」で触れたが、このハードと OS に対応したアプリの市場があらたに立ち上がってしまったことで、 最新OSを普及させたい Google の思惑と全く反した状況になってしまった。

同じ Android でも「Kindle Fire」「スマホ」「最新のTegraタブレット」など全然動作する条件が異なり、 アプリ開発者が別個に対応しなければならないし、やれることも異なる。
そういった市場の分断が発生してしまった。

これは以前から「Open GLハードウェア対応があるか」「画面サイズ」などで発生していたことだが、Kindle Fire でより一層明確になった。
そろそろ「Android 市場」があるという幻想を捨て、「Kindle Fire 市場」「Tegra 市場」「Galaxy 市場」など売れている端末や、ハード特性ごとに切り分けられた市場になっていると考えたほうが良い。
「Android」という枠の市場は曖昧すぎるし、切り分けたほうが実体にそぐう。

例えば、iOS ユーザーの数が仮に100として、Android ユーザーが 120としても、同じアプリが違う端末で動かない Android では60かもっと少ないユーザーにしか届かない。
iOS ならばまず 100のユーザーに届く。
そう言った切り分けが生まれてしまっているのだ。

Android は PC のような「ハードは自由」という発想で作られているが、現代のモバイルはまだ PC のように自由に使うには性能の問題を抱えている。
iOS と正面で戦うには OS 2.3系端末が引退し、ある程度の性能が全端末に保証される2014年ぐらいまで待つ必要があるだろう。

flurryandroid1
上記は Flurry のレポートによる US で制作が開始されたプロジェクトの比率。
見ての通り、 iOS で製作されているアプリは3倍以上多いが、これはそのまま来年の状況を反映しているように思える。


関連記事:
スマホゲームウォッチ1:ゲーム大手の判断から見るアンリアルエンジンと Android の限界
スマホゲームウォッチ2:11月は未曾有のセールが来る…itunesカードヲ用意セヨ。
スマホウォッチ3:目に見えて死に始めた携帯ゲーム専用機
スマホウォッチ4:Kindle Fire の呪いで歩みを止めるAndroid。
スマホウォッチ5:話題のTegra 3チップ、最初の性能比較は A5 チップが勝利
スマホウォッチ6:今のゲームは芸術品になってしまうかもしれない