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iOSゲームの未来 〜低価格帯ゲームはほぼ死滅すると思う〜

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少し前に Billy Frontier FREE の無料版を見て驚いた。
なんと、iAd(Appleの提供する広告プログラム)を搭載した代わりに、ゲームのフルバージョンが無料になっている!
元のゲームである Billy Frontier が85円で販売されているが、これでは実質的に無料ソフトと変わらない。

Billy Frontier は2008年8月に発売されたスペース・ウェスタンアクション。
ガンシューティングなど西部風ゲームが3つ収録されたゲームで、当時としてはハイクオリティなゲームだった。
見た目は古くなっているが、無料であれば破格と言わなくても悪くない作品。

現在で言うところの500円の価格帯でリリースされたものが徐々に値段を落として85円に収まり、ついに広告付き無料まで落ちたわけだ。

さらにChillingoがMonster Mayhemのフリーミアム版を出す(Pocket Gamer)というニュースが飛び込んでくるに至って 「ついに来るべき時がきたな」と感じざるを得なかった。

AppStore は素晴らしい。
24時間買い物ができて、在庫も商品陳列スペースにも限界はない。
世界中に顧客がいて、リリースは世界共通・一括でできる。

これまでゲームの商品寿命は長いものでも5年(それも任天堂製品などごく限られたもので、多くは半年といったところだろう)といったところで、それを過ぎたものは店頭から消えていった。
だが、AppStore では Billy Frontierのように、発売日は定価で、時間がたって見た目が一線級でなくなっても値下げして、最後は広告付きで無料にすれば出がらしを絞って出来る限り売ることができる。

2〜3年前のものならともかく、すでに AppStore では1年前の作品が無料で転がっているケースもある。
そこに対抗するためにはフリーミアムモデルで販売されるようになり、有料ゲームは分かりやすくグラフィックが強化され、進化したデバイスの機能を使い切ったゲーム(Infinity Bladeや、Dead Spaceのような大作だ)や、カイロソフトやスクエア・エニックスなどブランドをもつゲームぐらいしか残らないだろう。
低価格帯のカジュアルゲームは2年以内にほぼ全て無料になっていくはずだ。

では、フリーミアムに移行したゲームは今までのような利益を得ることができるだろうか?
そんな事は全くない。


ゲームロフトはレッツ!ゴルフ3を基本無料タイプのゲームとして発売することを宣言している。
レッツ!ゴルフほどのゲームが無料化したとき (プレイした感じではレッツ!ゴルフ2を軽く超えていた)、生き延びるゴルフゲームはどれぐらいあるだろうか。
フリーミアムゲームのハードルも間違い無く年々上がっていき、予算も膨大になり、大企業以外が大成功するのはますます難しくなっていく。
ソーシャルゲームも飽和していくはずだ。

先日、「iPhoneゲームのトップ300は10社のパブリッシャーで半独占状態」(Kotaku Japan)というニュースがあったが、この流れに沿っていけばこれは当然のことで、将来はもっと加速する。
itunes で世界を相手に個人が大成功…そんなのはゲームにおいては過去の話で、個人・中小企業にはどんどん辛い状況になっていく。

この記事はChillingoがMonster Mayhemのフリーミアになった当日に書き始めたのだが、それから10日もたってないのに、GAMEVILは ZENONIA など同社の定番ゲームをフリーミアムモデルにして続々出し直したり、ナムコも最近過去のゲームのフリーミアム化に手を出し始めた。
EA は新作が出る前に前作を最低価格まで値下げする傾向があるが、今頃旧作のフリーミアム化を考えているところだろう。

これは企業として利益を追求するとき自然な流れなので、いつかこうなると思っていた。
予想よりもその波が来るのは遅かったが。

生き延びるためには今のうちにブランドを築くか、さらにその先の将来を見越して動いていくか…。

ただ、高価格帯のゲームはこの先豊富になっていくと予想している。
現在、PSPで開発すると末端の開発メーカーに入るのは1本につき1000円そこそこ。
それを考えると、PSPクラスのゲームを iPhone に向けて1500円ぐらいの売値を想定して開発していくのはありえる選択肢で、日本だけの市場でもすでに(予想だが)500万ぐらいの iPhone / iPod touch / iPad がある事を考えると、日本人向けのゲームも十分でる市場規模があり、ゲーマーには悪くない未来もあり得る。
米国でも据え置き機が携帯機の市場に逆転されることが予想されているし、将来を見越してスマートフォンに参入するメーカーはどんどん出てくるはず。

既存のゲームに付いては、ゲームの小売業者や問屋には死んでいただくしかない。
代わって出てくるDL販売時代の小売店はブログであり、巨大な企業サイトである。
そういった市場がきっちり育つには、それらがどれだけ育っていくかにかかっていると思っている。

とか、ぼんやり考えていた。

※タイトルが言い切り系だったのを〜と思うに修正