ゲームキャスト

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iPhone がガラケーに追いつく日を待っている話

携帯でゲームするということに最もはまっていたのはいつか、と言われるとガラケー時代だ。
ガラケーの名のとおり、日本だけで栄えたケータイ文化はコンテンツも日本に特化したものを豊富に蓄積した。
邦楽で買えないものはガラケーにはないし、テレビも見れるし、とにかくコンテンツは消費しきれないぐらいあった。

もちろん、ゲームもそうだ。
ガラケーのゲームは質量共に群を抜いているし、それは今でも変わらない。
iPhone のことばかり書いているので、たまには時代の先を行き過ぎていたガラケーのすばらしさをここで語ろうと思う。
言いたいままに書いているのでいつも以上に見づらいのはご容赦を。

ガラケーは時代を先取りしたスーパーマシンだった。
iPhone の出現まで、欧米の携帯は単なる電話+メール装置だった。
ゲームが出来るだけのパワーもないし、例外をのぞいて機能も簡素なもの。
その前まで日本の携帯はゲームも出来る超高性能マシンであり、海外から見たら信じられないほど先を行く機器だった。
ことゲームにおいては iPhone が出てからたどった道を5年以上前に先取りしていたように思える。


異常な低価格
iPhone の競争でゲームの異常デフレが…という話が出てくるが、ガラケーが5年前にとっくに先取りしていた話である。

105円の低容量アプリからスタートしたガラケーは、十分なゲームが出来るようになっても低価格に縛られていた。
2007年の時点でスーパーファミコン初期の RPG クラスのものが315円だったと記憶している。
もちろん、ミニゲームなら105円程度。
そして、勝手アプリ(キャリアによって呼び名が違った)と呼ばれる無料のアプリでも面白いものがかなりあった。

趣味のフリーアプリ vs メーカーアプリの構図がすでに出来ていた。
Windows PCで開発できるということで敷居自体は AppStore より低い面もあったし、何よりもキャリア公認でないと有料で発売できないので、趣味アプリ=無料アプリとなり、低価格アプリの層は非常に厚かったと言えるだろう。

販売方法も買い切り、月額115円の課金で特定メーカーのアプリが好き放題遊べる形式、特定額で決まった回数プレイできるアプリなど、その低価格を乗り切るために様々な試みが行われていた。
特に月額で遊び放題制はユーザーからみるとすごいコストパフォーマンスで、ミニゲームから大作RPG、まで全てその中に揃っているということもざらであった。
月額制のサービスを1月毎に切り替える猛者もいて、そういったユーザーからみると AppStore など屁ともしない安さだった。

スーパーファミコンの大作と遜色ないRPGが遊べるが、それでも価格は600円が相場である(スクエニのクロノトリガー移植版で1200円)。
なんでこれが価格破壊と言われなかったのかが不思議でならないが、i-modeの市場規模が未だに AppStore よりでかいことを考えると、今の AppStore 以上に美味しい市場だから、というのが結論なのだろう。
現在でも豊富な選択肢のある課金制度、安さの面では未だに AppStore の先を行っている。


ゲーム進化の軌跡

ゲーム内容の変遷や2001年にiアプリが出た後、いろいろなところで言われていたことも iPhone の軌跡とかぶる。

「操作性が悪くて携帯でゲームなんてできないよな」

と iPhone のゲームと同じように言われていた始まったケータイゲーム。
それも2003年頃には、携帯ならではの簡単操作で楽しめるアクションがいくつも出始めていたし、メーカーも徐々に携帯アプリのUIを研究して面白いゲームが出せるようになっていた。
(その中にはタッチパネルで複雑な操作をさせないで楽しませる、という iPhone のアクションゲームに似た思想が見られる)
また容量が足りないことを補うため、必死の工夫が生まれた。

iPhone のゲームが徐々に良くなっていったのと変わらない過程で面白くなっていったのだ。
2007年頃にはゲームが豊富になり、ゲーマーも満足できるレベルであったと思う。
それも、日本人による日本人のためのゲームだからはずれの確率は AppStore より遥かに低かった。
いや、ハズレ率より当たり率を考えたほうが良かったように思う。

RPG や シミュレーションが大量で天国のようだった。
タイミングアクション、ゴムdeびょーんにはまりまくった。
何周もできる RPG、魔王が墜ちる日を本当に6週ぐらいはプレイした。
Mobile Rogue Likeは携帯向けに簡略化されたローグライクで、シンプルで無料なのに信じられないぐらいハマった。
未だ、ガラケー時代が携帯ゲーム熱絶頂だったと言ってもいい(全体的に古いチョイスだけども)。


何が言いたいかというと

それだけ未来を先取りしていた日本のゲーム業界が iPhone に乗り遅れたのは、日本が未来を先取りしすぎていたから、なのだろう。
AppStore などよりよっぽど便利で進化していた課金システムのおかげで、市場は2010年の売上を比べてもケータイ市場ではなく i-mode 単体で AppStoreの世界市場を合わせたよりも大きいはずだ。
(ソースは失念したが、2010年のi-mode が2800億円程度、2008〜2009年のAppStoreが1800億円で2010年は前年比60%程度成長したという話を聞いたので2010年時点では i-mode がリードしているはず)
国内にこれだけ大きい市場があるのに、わざわざ新興市場に乗り込む必要性は感じられなかったに違いない。

結果として、自分の好きなタイプのゲームはまだ AppStore には少ない。
今ようやく、ガラケーで勝負していたメーカーがどんどん iPhone や Android にやってきているので、ガラケー市場で得た経験を活かして、世界とわたり合って欲しいと思っている。

今はガラケー、スマートフォンの両輪で戦わなくてはならないので大変だとは思うが、また世界で羽ばたく日本産ゲームを見たいし、日本ゲームにはそのポテンシャルはあると思っているから応援したい。
何よりも、自分の好みはそういったゲームだし。
私は RPG が足りなくて iPhone でゲームしながら PC のフリーゲーム(らんだむダンジョンとか、Ruinaとか…)に手を出すような男なので、日本メーカーのスマートフォン移行が進んで、 iPhone のゲームの層がガラケー並に厚くなる日を待っていたりする。

ということで、日本の携帯ゲームメーカーの皆様、よろしくお願いします。



「日本のゲーム、RPGとか繰り返しでプレイする気にもなれないよね。
 アクションやオープンワールド、FPSが海外でウケるし面白い。
 ゲームキャストの記事を見ていてトシさんからもそういうオーラが伝わってくるね。」

と、日本人のゲーム業界の方(本物かは知らない)から今日お言葉を頂き、自分が好きなゲームを全否定されてむかついたので勢いで書いてみた。
USから来た友人に同じことを言われてもなんともなかったけど、同じ日本人に否定されると嫌な気分になる不思議。