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レビュー:動く世界に干渉するミステリーパズルアドベンチャー ゴーストトリック

この記事は古いバージョンのもので、最新のゴーストトリックレビュー記事はこちらとなります。
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タイトル:ゴーストトリック
ディベロッパー:カプコン
プレイ時Version:1.0
ジャンル:ミステリーパズルアドベンチャー
価格:1~2章無料
3章~最終話:1500円
3章~7章:600円
8章~13章:600円
14章~最終章:600円

記憶を失った幽霊となり、「自分が何者だったのか」を探し求めるミステリーアドベンチャー。
幽霊となった主人公が得た特殊能力を駆使し、主人公は自分の死際に近くにいた女刑事を助けながら事件の真相を探っていく。
逆転裁判と同じ方がシナリオを担当しており、コミカルなキャラクターの描写が面白い。


幽霊のチカラを使って過去を変える
主人公は公園で死亡し、幽霊になって自分についての記憶を一切失い目が覚めたところから始まる。
その場にいた女刑事が自分の死と関係が深いことを知り、その刑事を幽霊のチカラで助けつつ自分の過去を探っていくこととなる。
主人公のチカラとは「死体に取り憑き、その死の4分前まで何度でも時間を遡る能力」、「近くの物に取り付き、動かす能力」、「電話線を通じて移動する能力」の3つ。
行く先々で死体に取り憑き過去に遡ってその死を阻止して話を進めていくのだが、これが面白い。
死亡の4分前まではリアルタイムアニメーションで全てが動いている。
何度でも遡れる主人公はこの4分間の情報をすべて知り、何回でもいろいろな事を試すことができる。
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例えば、冒頭で女刑事は1度死ぬが主人公が遮断器に取り憑いて動かすことで助けることができる。
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リアルタイムで動く世界の情報を頭で組み立て、時に電話から場所を移動し、時にモノを動かすことで先の展開がどうなるか予想しながら遊ぶパズルゲームだ。
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また、謎を提示し、過去に遡ることで「ふむふむ」と納得し、それから解決を試みて未来を変えてさらに結果の物語を楽しむ形でストーリーとゲームの流れが途切れずに楽しめる。

本から動画への進化
逆転裁判は文章の中からヒントを探して積み重ねていくノベル系アドベンチャーゲームだった。
かまいたちの夜などに比べればゲーム要素は濃かったが、それでもノベルゲームの域は出ない。
ゴーストトリックのすごいところはノベル一辺倒になっているミステリーアドベンチャーに「動画」を見て、推理・干渉していくという要素を持ち込んだところ。
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キャラクターのアニメーションが豊富で、常に世界がリアルタイムに動いている。
今までは「敵がいる」に対して「攻撃」「逃げる」などと文字で選択していたところを、タイミングを逃せばチャンスがない(こともある)動いている世界に干渉するアクションパズル的に選択へ変化させている。
これはかなり新鮮かつ有効に働いている。
従来のゲームはゲーム要素を濃くするほど物語要素と分断され、ストーリーの印象が薄くなるか無理が出ていたが、ゴーストトリックでは自分が物語を語っている世界そのものに直接干渉するためゲーム的要素が増えているのに物語にも入り込める。
それどころか、文字に動きが加わることでコミカルなキャラクターの個性がさらに生きて強化されている面もある。
新たしいシステムに対応できるように下手な分岐は設けず、失敗したときはすぐに戻れるようになっている他、細かくヒントが入るため絶対に詰まって繰り返すだけにならない親切さもいい(パズル好きは一発で謎をといて欲しい)。
複雑なシステムを誰でも楽しめるように、物語に入り込めるようにうまく形にしたのは素直に素晴らしいと思える。

新しいもの好きに捧ぐ
本作は「コミカルな会話と先が気になるストーリー」「動画に干渉するアクションパズル」が融合したミステリーパズルアクションアドベンチャーとでも言うべきもの。
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新しさはあるが、反面ノベル好きに受け入れられるかどうかという点は気になる。
アクションパズルは難しすぎないが、ノベル専門にやってきたプレイヤーは面倒になるかもしれないし、動きと組み合わせた演出はどうしても独特の「間」が入るため「待つのが面倒」というせっかちな人には向かない。
新種のミステリーゲームを試したい人、逆転裁判のファン(シナリオも音楽も同じスタッフが手がけている)におすすめ。
実際、DSで5040円のものが1500円(セール中は1200円)でグラフィック向上バージョンで楽しめると思えばかなりお得。
なんにせよ、「新しいシステム」を体験の1~2章で堪能できるのはゲーマーには見逃せないところ。


トシの評価(5段階)
実のところ、私はノベル系ゲームが苦手である。
やったとしても全ての音声は飛ばす、演出もたいてい早送りで文字だけを追うタイプ。
なので、優秀なシステムと先が気になる展開にも関わらずやり直し(それでも最小限のやり直しですむように工夫されているのはわかる)にストレスを感じてしまった。
それでもアニメーションと会話・演出の整合性をとっているあたり、かなり手間のかかったゲームで「ノベル系が苦手」な私でも楽しんでプレイできたという点で評価している。
ただ、全話購入で定価1500円はAppStoreにおいて「ケイオスリングス」並の大作を意味する。
DS版が5040円な上にグラフィックも向上しているのでお得と考えるかどうかで評価が変わるのだが、当BlogとしてはあくまでAppStore基準で評価で2.5とさせていただいた(当Blogの2.5は価格に見合う内容、という評価)。
ただし、パズル・ノベル・アドベンチャー好きであれば3.0~3.5程度と考えてもいいだろう。

総合:2.5(楽しめる)
+映像に干渉するアクションパズル
+テンポの良い会話とストーリー
+豊かなアニメーション
・ストーリーについては好みが分かれる

ゴースト トリックの詳細はこちら(itunes)